一般計量士試験の「計量器概論及び質量の計量(計質)」と「計量管理概論(管理)」では、測定誤差と測定不確かさの違いが重要です。
似た言葉ですが、測定誤差は「測定値と参照値との差」、測定不確かさは「測定量に帰属する値のばらつきを、利用した情報に基づいて表すパラメータ」です。この記事では、JCGMの国際計量用語集(VIM)とGUMに沿って、試験で混同しやすい点を整理します。
測定誤差と測定不確かさの違い
| 用語 | 意味 | 押さえる点 |
|---|---|---|
| 測定誤差 | 測定値-参照値 | 参照値が分かれば誤差を見積もり、既知の系統的影響を補正できる |
| 測定不確かさ | 測定量に帰属する値のばらつきを特徴づける非負のパラメータ | 測定結果の信頼性を判断するため、測定値と一緒に示す |
| まちがい | 読み違い・記録ミス・操作ミスなど | 測定誤差の成分とは区別する |
VIMでは、測定誤差を「測定量の測定値から参照値を引いたもの」と定義し、製造上のエラーや人のまちがいと混同しないよう注意しています。測定結果は一般に、測定値と測定不確かさで表します。
測定誤差の2つの成分
系統誤差
系統誤差は、反復測定で一定のまま、または予測可能な変化をする測定誤差の成分です。ゼロ点のずれ、校正値からの偏り、温度による既知の変化などが例になります。
- 標準器との比較や校正で影響を見積もる
- 既知の系統的影響には補正を適用する
- 補正後も、補正値や校正値に伴う不確かさを考慮する
「補正すれば誤差が完全になくなる」とは限りません。補正量そのものにも不確かさがあり、未知の系統的影響が残る場合もあります。
偶然誤差
偶然誤差は、反復測定で予測できない変化をする測定誤差の成分です。測定環境、読み取り、試料状態など複数の要因により、同じ量を測っても値がばらつきます。
個々の偶然誤差を事前に予測することはできませんが、反復測定と統計処理によってばらつきを評価し、平均値に対する影響を小さくできます。したがって「偶然誤差には対処できない」という理解は誤りです。
精密さ・真度・正確さを混同しない
- 精密さ:同じ条件で繰り返した測定値同士がどれだけ近いか
- 真度:多数回の測定値の平均が参照値にどれだけ近いか
- 正確さ:測定値が真の値にどれだけ近いかを表す定性的な概念
ばらつきが小さくても、全体が一方向にずれていれば精密ではあっても真度が高いとは限りません。試験では、ばらつきと偏りを分けて考えましょう。
測定不確かさとは
測定不確かさは、測定量に帰属する値のばらつきを、利用した情報に基づいて特徴づける非負のパラメータです。標準偏差で表す場合だけでなく、その倍数や、明示した包含確率を持つ区間の半幅で表す場合もあります。
例えば温度計が「36.4 ℃」と表示しただけでは、真の値が必ず36.35~36.45 ℃にあるとは断定できません。表示分解能や丸めは不確かさ要因の一つですが、校正、安定性、環境、測定方法なども合わせて評価します。
タイプA評価とタイプB評価
| 評価方法 | 評価に使う情報 | 例 |
|---|---|---|
| タイプA | 一連の観測値の統計解析 | 反復測定の平均、実験標準偏差 |
| タイプB | 統計解析以外から得た情報 | 校正証明書、仕様書、分解能、過去の測定データ、経験 |
タイプA・タイプBは評価方法の分類です。「タイプA=偶然誤差」「タイプB=系統誤差」という一対一の対応ではありません。どちらも最終的に標準不確かさとして表し、同じ枠組みで合成します。
不確かさを求める基本手順
- 測定量と測定モデルを明確にする
何を測るか、結果がどの入力値から決まるかを整理します。 - 不確かさ要因を抽出する
反復性、校正、分解能、温度、試料、測定者などを洗い出します。 - 各要因を標準不確かさで評価する
タイプAまたはタイプBの方法で、標準偏差に相当する量へ換算します。 - 合成標準不確かさを求める
感度係数と相関を考慮して不確かさを伝播させます。独立で単純な場合は二乗和の平方根で合成します。 - 拡張不確かさを求めて報告する
合成標準不確かさ uc に包含係数 k を掛け、U=k・uc とします。
結果は「Y=y ± U」の形で、単位、包含係数k、想定した包含確率や評価条件とともに示します。k=2は、適切な分布や自由度の条件のもとで約95%の包含確率に対応することが多いものの、常に厳密な95%を保証するわけではありません。
長さ測定では、温度、測定力、測定軸の傾き、ゼロ点、測定面の汚れが誤差要因になります。具体的な測定器ごとの注意点は、長さの測定とは?基準・測定器・誤差で確認できます。
一般計量士試験での覚え方
- 測定誤差=測定値-参照値
- まちがいは測定誤差の成分と混同しない
- 系統誤差は一定または予測可能、既知の影響は補正できる
- 偶然誤差は予測できないが、反復測定と統計処理で評価できる
- タイプA/Bは評価方法の分類
- 標準不確かさを合成し、U=k・ucで拡張不確かさを求める
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