どうも、竜崎(@ryuzakiroom)です。
今回は一般計量士の必須知識のひとつである測定の誤差について
解説していきたいと思います。
測定の誤差については、一般計量士の受験項目である
計量器概論及び質量の質量(以下:計質)以外にも計量管理概論でも出題される所であり
測定の基礎知識として必須だと思います。
測定の基礎知識を知りたい人や一般計量士を目指す人に
オススメの記事となっております。
測定の誤差とは
誤差とは、測定値と真値の差の事を言います。
誤差はまちがい、系統誤差、偶然誤差の3種類に大別されます。
まちがい
読み間違い、記録ミスなどで発生する誤差。
近年では測定の自動化によって減少傾向です。
例えば、46と表示されているのを間違えて48と読んでしまったり
日常生活でもある間違いですね。
JIS Z 8103:2019の用語では以下の通りとなります。
測定者が気付かずにおかした誤り,又はその結果求められた測定値。
出典:JIS Z 8103:2019 まちがい
系統誤差
測定誤差がある一定の規則的な関係に従って系統的に生じる誤差の事を言います。
補正係数を測定結果に導入することにより除去が可能です。
例えば、製造上やむを得ない不完全さにより製作した測定器に既に存在する誤差
例えば、製造した時に正しい測定器が経年によって指示に変化を生じる現象の誤差
使用前の点検や定期点検で誤差を把握しておく事が重要です。
JIS Z 8103:2019の用語では以下の通りとなります。
反復測定において,一定のままであるか,又は予測可能な変化をする測定誤
出典:JIS Z 8103:2019(測定の)系統誤差
差の成分。
偶然誤差
まちがいをなくし、系統誤差を補正しても、測定値にばらつきが発生します。
原因が追究出来ずに補正出来ないような誤差を偶然誤差と言います。
偶然誤差は測定環境や温度。気圧などに影響されるため影響要因として考慮する必要があります。
偶然誤差だけは対処が出来ないのがポイントです。
JIS Z 8103:2019の用語では以下の通りとなります。
反復測定において,予測が不可能な変化をする測定誤差の成分。
507
出典:JIS Z 8103:2019(測定の)偶然誤差
不確かさとは
近年、測定のには不確かさの概念が普及し始めており
真の値を見つけることは簡単ではなく、ほとんどの場合は不明である。
国際計量基本用語集
(VIM:International vocabulary of basic and general terms in metrology 1993年)では
測定量に対する信頼性を従来の『真の値とそのばらつき』という概念ではなく
『真の値は未知だが、このばらつきの中に存在する』という考え方を採用した。
そのばらつきの範囲として『不確かさ uncertainty』という表現が採用されたとの事。
どんなに正確なはかりを使っていても表示されている量が
本当に正しい値とは言い切れないという事
JIS Z 8103:2019のばらつきの定義は以下の通りとなります。
測定値がそろっていないこと。また,ふぞろいの程度。
出典:JIS Z 8103:2019(測定の)ばらつき
同じ測定を繰り返した場合であっても、必ずしも同じ
測定結果が得られ続けるとは限らないという事です。
例えば、温度計で測定し、36.4℃と表示された場合
温度計が36.35℃~36.45℃の間にある事を
示しており、温度がばらついているという事です。
不確かさの定義
1993年国際標準化機構のISOから測定の信頼性を表す方法として
GUM(Guide to expression of Uncertainty in Measurement)
測定における不確かさ表現のガイドが出版されました。
不確かさの定義は以下の通りとなります。
測定の結果に付随した,合理的に測定対象量に結び付けられ得る値のばらつき
出典:不確かさとは(GUM VIM2)より
を特徴づけるパラメータ
計量士の試験では、不確かさの定義はVIM2で書かれており
VIM3での定義は割愛します。
簡単に表すと測定のばらつきのパラメーターであり、標準偏差で表している。
不確かさの分類
GUIでは、標準不確かさの方法を次の2種類に分類している。
タイプA:統計的方法によって見積もる不確かさの成分
タイプB:統計的方法以外の方法によって見積もる不確かさの成分
不確かさの求め方
不確かさの求め方は以下の手順で求めていきます。
①不確かさの要因の抽出
タイプAかタイプBか
②個々の不確かさの推定(標準不確かさ)
標準偏差が標準不確かさとなります。 関係式としては、y=f(x1,x2,x3…xn)
③不確かさの合成
合成標準不確かさ(2乗和)
④総合的不意確かさの推定と表現
例:拡張不確かさ95% 信頼率 k=2 kは包含係数
合成標準不確かさ
拡張不確かさ(k=2)
実際の試験問題では、不確かさを算出する問題もあり
傾向としては、標準偏差が分かっている状態での算出となる。
計量管理概論 平成26年 問6に不確かさの例題があります。
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